令和元年度

第四ブロック 保護司組織運営連絡協議会報告

  令和元年1018日(金)、第四ブロック保護司組織運営連絡協議会(以下「協議会」という。)が、東京保護観察所(以下「観察所」という。)及び東京都保護司会連合会(以下「東保連」という。)の主催、板橋区保護司会の当番により、「西台 王華」を会場として開催された。

 第四ブロック所属の保護司会は、中野区、杉並区、豊島区、板橋区及び練馬区の各保護司会である。当会からは風祭喜久夫会長以下17名及び練馬区職員3名(練馬区職員の参加は来年度が練馬区当番であることに備えてのもの)が参加した。 

  本年度の協議題は次のものである。 

 “東京の保護司活動の今、そして、これから ~東京の更生保護を守り抜くために~”

 

   協議会は、午後2時より開始された。主催者挨拶として、宮田祐良観察所長は、「今年は、更生保護制度施行70周年という記念すべき年である。次の世代に更生保護制度を継承していくためにどのようにしていくのか。課題は明確であり、適任保護司をいかに安定的に確保していくか。明確なものはなく、粘り強くやっていくしかない。」といった内容を述べられた。続いて森久保康男東保連会長は、「同志といえる保護司を確保していくことは永遠のテーマである。」と挨拶された。この後、来賓挨拶、来賓紹介、保護観察所による協議題及び趣旨説明があり、全体協議に移行した。

 

今年度の協議会は、平成30年度の協議結果、今般改定された「保護司の安定的確保に関する基本的指針」及び同指針の着実な実施のための重点的方策である「保護司の安定的確保のための10のアクションプラン」(いずれも末尾ご参照)の内容を踏まえ、実情に即して保護司の安定的確保のための具体的方策について、協議するものである。

  

【全体協議】

 当番区である内田等板橋区保護司会会長が座長となり、全体協議が開始された。10分の持ち時間で基調報告が始まったが、当会の内堀秀平氏がトップを切って報告した。

 

 内堀報告の概略は次のものであるが、明瞭で淀みなく、とても立派であった。 

Ÿ  最初は「保護司の成り手を安定的に確保するために」である。当会の定員充足率は57.5%と都内最低であり、それを解消すべく対応してきたが、依然不十分である。そこで従前よりやってきた分区の垣根を超えた候補者選びを強化するために、昨年度末から理事会で各分区長が途中経過を報告する等、いろいろと工夫している。 

Ÿ  練馬区との連携強化は本日の目玉である。先般、前川燿男練馬区長との「練馬の未来を語る会」が開催され、この場で区長に当会の現状をお話し、その改善への協力をお願いしたところ、保護司の安定的確保への協力、地方再犯防止推進計画の協働推進、面接場所の確保等について前向きの検討を約束してもらった。そこで連絡協議会が設置されて1回開催した。今後は年2回の開催(個別は随時)を予定している。 

Ÿ  当会では、分区長以外は5つの専門部会に所属してもらい、部活動を通じての保護司育成も図っている。また、会運営のための事務負担は大きく、事務負担軽減のために事務局設置が望まれる。観察所でも、ぜひ検討してほしい。 

Ÿ  「やりがいを感じ、長く、活発に続けられるために」は、サポセンの活用が主になるが、たとえば新任保護司相談窓口の設置等により新任保護司等が気軽に立ち寄れる場所等として活用していきたい。 

Ÿ  当会には退任保護司による「会友の会」がある。先日、同会発足15周年を迎え、同会メンバーと会長等との懇談会がなされたが、この席で練馬区保護司会の現状を伝え、新任保護司発掘に関する依頼等を行った。 

Ÿ  来年度、練馬区町会連合会(17支部272町会)が社明推進団体に加盟する予定である。協力・連携を図っていきたい。

                             基調報告を行う内堀秀平氏

  この後、中野、杉並、豊島及び板橋の各保護司会の順で報告がなされたが、それらをまとめると、概ね以下のようであった。 

² 保護司候補者検討協議会については、関係機関との連携等を行っているが、なかなか効果が出ない。協議会の役割の再確認が必要である。 

² 従来からの人脈による候補者確保がどこまで通用するか心配である。 

² 区役所との連携は、保護司会への理解促進、スムーズな連絡、人材情報収集等で大事である。区職員の保護司任命を働きかけたい。 

² 区の再犯防止推進計画を区と協働で推進したい。 

² 町会連合会、更女、BBS会等の更生保護関係者、学校関係団体等との連携は、更生保護活動への理解促進や人材情報入手等の大事な機会であり、連携強化を図りたい。 

² 保護司活動を理解してもらい保護司適任者発掘につなげられるように広報に努める必要がある。HPの開設を考えたい。 

² インターンシップによる候補者発掘を進めたい。 

² 社明運動はどのような形が効果的であるか、検証する必要がある。 

² 新任者の研修充実や経験年数の浅い保護司への支援、保護司の孤立を防ぐための組織的支援等の整備が求められている。 

² 理事会や専門部会の在り方・開催頻度、電子メールやHPを活用した情報伝達等による保護司会の組織・活動のスリム化が必要である。 

² サポセンは面接場所としても活用しているが、保護司会事務所的役割が大きく、保護司の支援等のために活用できてはいない。今後、サポセンを全保護司の活動拠点等として機能するようにすべきだ。 

² 住宅事情の変化、薬物事犯者の増加等により自宅以外での面接に対する要望が強い。現状のサポセンでは、この要求に十分ではない。面接場所の確保が大事である。 

² 保護司会の将来を見据えると、保護司会運営に携われる保護司の育成が必要である。 

² 保護司活動にやりがいを感じて、長く、活発に続けるためには組織的サポートが重要である。保護司の各種の疑問や不明に対応できる体制をサポセンに作りたい。 

² 退任者・桐友会メンバーに活躍してもらえるような組織作りが望まれる。 

² 保護司業務は犯罪者を対象にすることから、「危ない仕事」というイメージがある。この悪いイメージを払拭することが、対象者の地域への受入れの観点からも大事である。 

² 保護司は、身分が法律で裏付けられ責任は重い。いっぽう、処遇活動も含む幅広い更生保護活動にはやりがいや達成感があり、それこそ保護司活動の魅力である。その魅力を伝えること、そして保護司の負担軽減に早急に取り組むことが、保護司の安定的確保のために必要である。

 

【意見交換等】

基調報告の後、意見交換等となったが、主なものを集約して紹介する。 

Ÿ  サポセンの活用については、各会共通の課題といえよう。サポセン数やどのような運営が適切か等について、各会ともに問題を抱え、悩んでいた。また、新任者のためにサポセンを活用すべきであるという認識については、ほぼ一致していたと思われる。 

Ÿ  保護司会活動のスリム化については、各会とも一致していたと考えられる。 

Ÿ  観察所に対して面接場所確保に関する質問があったが、観察所からは、「この問題は十分に認識しており、又、サポセンの数の確保は難しい問題でもある。主任官と個別に相談していただきたい。」といった旨の説明があった。 

Ÿ  「今後保護司を安定的に確保するにはどうしたらいいか」について各会長の意見が表明されたが、そのための妙案がないことでは一致しているかに思えた。その中で、「一番大切なのは理事会と分区会であり、常に、適材の発掘に努める必要がある。」という発言には説得力を感じた。 

Ÿ  保護司会におけるHPの運営上の課題について、当会に質問があった。これに対して、「23年前にHPができ、広報部で担当している。HPを維持・管理していく役割を誰が担うかが大きな課題である。」という旨の説明をした。 

Ÿ  自宅以外の面接場所の確保は、保護司勧誘時のネックの一つでもあり、又、サポセン以外の場所をどう見つけていくか、各会の共通の課題であると思われた。

 

【講評】

 意見交換等の後、宮田祐良観察所長と森久保康男東保連会長の講評があった。

 

宮田所長は、「保護司会が新しい保護司をどう育てるかにすごく心を砕いていることを実感した。感謝したい。今日の協議の中で一番大きかったのは、保護司の負担軽減ということであろう。観察所としてもやれることはやっていきたい。サポセンの活用の在り方、事務負担の軽減、面接場所をどうするか、といったことは認識している。HPについては、観察所も検討テーマとしている。新任保護司発掘については、これまで保護司会等に任せきりにしてきた感がある。ただ、保護司を任命するのは法務大臣だが、誰を保護司として推薦するかのイニシアティブは保護司会にある、ということは重要である。どのような保護司が良いのか、そういう基礎的なところを保護司会と観察所で十分にすり合わせていくのが大切であり、又、保護司活動にて何が得られるのか、有意義な経験として何を得られるのか、保護司活動で成長するのはなぜか、といったことも基盤としていく必要がある。観察所の敷居が高いというのであれば改善しなければならない。気楽に利用してほしい。」といった旨を述べられた。

 

森久保東保連会長は、「今日は基本的な点に戻って協議がなされたことは素晴らしかった。いろいろな保護司の方の意見がこういう場所で披露されることは、大変すばらしいことである。今日の協議会の内容を、是非、活動につなげていっていただきたい。」といった内容の講評をされた。お二人の講評に続いて東保連の西川千惠子副会長等の講評があり、上野光男板橋区保護司会副会長の閉会の辞をもって、協議会は終了した。

 

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協議会終了後、同所で懇親会が開催された。美味しい中華料理を食べながら参加者同志の懇親・意見交換が図られ、最後に来年の当番である風祭喜久夫練馬区保護司会会長の閉会の辞によって閉幕し、散会した。

                (広報部 澤 重信)

<本報告は、練馬区保護司会報第245号(令和2年1月1日)に掲載したものです。>